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■POS事件 (東京地裁 S63.9.16 昭和62年(ワ)第9572号)
●事件の概要
 「印刷物」に「POS」を商標登録していた原告が、「POS」の文字を書籍の題号(「POS実践マニュアル−診療録の記載方法−」など)の一部として使用する行為は商標権の侵害であるとして、被告日総研出版に対し、「POS」の使用差止めを求めた事件。
●裁判所の判断
 「POS」とは、「Problem Oriented System」の略語であり、「問題志向型診療記録作成方式」を意味するものである。
 しかして、被告標章は被告書籍の題号として、被告書籍の内容を示すために被告書籍の表紙に使用されているものであって、出所表示機能を有しない態様で被告書籍に表示されているものというべきであるから、被告標章の使用は、原告商標権を侵害するものということはできない。


 コメント
 判決は、書籍の題号は、出所表示機能を果たす態様で使用されていないので、商標ではないと判断しています。 
 結論としては妥当と考えますが、同じタイトルの本は同じ内容の本であると一般には考えますので、書籍の題号が出所表示機能を果たす態様で使用されていないとは考えにくく、 むしろ、商標は、本来、書店や出版社などの商品やサービスの出所を表示する標識であり、書籍の題号は、本来、商品の出所を表示する標識として使用されるのではなく、著作物たる書籍の内容を表示するために使用されているものであって、本質的に異なるものであると考えるのが妥当のように思います。
 ただし、書籍の題号であっても、雑誌や新聞などの定期刊行物のタイトルについては、原則として商標と扱われます。一定の編集方針に基づいて繰り返し発行されるのもであって、それらの題号は出版社等の出所を表示するものだからです。
 なお、裁判所は、ゲームソフトの題号、音楽CDのタイトルについても書籍と同じ著作物であり、内容を表示するものとして使用されるものであって、商標ではないと考えています。たとえば、「三国志 武将争覇」というタイトルのコンピュータゲームソフトが「三国志」の商標権侵害とならないと判断されました(三国志事件 千葉地裁H06.3.25 平成5年(ヨ)702号)。また、井上陽水のアルバムタイトル「UNDER THE SUN」が「UNDER THE SUN」の商標権侵害にならないと判断されています(UNDER THE SUN事件 東京地裁H7.2.22 平成6年(ワ)6280号)。
 しかし、最近の判決では、ゲームソフトのタイトルが商標としての使用であると判断しているものもあります(「ぼくは航空管制官事件」東京地裁平成13年(ワ)7078)。また、裁判事件に発展することもありますので、争いの火種をつくらないためにも、周囲に他人の商標権が存在しないかどうかをあらかじめ確認のうえ書籍などの製造、販売をおこなうようにすべきと考えます。
 したがって、使用にあたって、他人の登録商標のチェックは必要ですし、商標登録をしておくことが必要です。

〜参考〜
特許庁審査基準
・書籍の題号については、題号が直ちに特定の内容を表示するものと認められるときは、 品質を表示するものとする。
・新聞、雑誌等の定期刊行物の題号は、原則として、自他商品の識別力があるものとする。

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