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■ウイスキー瓶事件(東京高裁H15.8.29 平成14年(行ケ)581号)

●事件の概要
 サントリー社は、指定商品を「ウイスキー」とするウイスキー瓶の形状を立体商標として商標登録出願をしたが、拒絶査定を受け、さらにこれを不服として請求した審判においても、自他商品の識別標識とは認識し得ない(3条1項3号該当)と判断され、また,その指定商品について使用された結果,自他商品の識別標識としての機能を有するに至ったとはいえず、3条2項の適用により登録を受けることはできないとして拒絶されたため、東京高裁に審決取消訴訟を提起した事件。
●裁判所の判断
(3条1項3号該当性について)
 商品又は商品の包装(収納容器を含む。以下「商品等」という。)の形状は,本来,その商品等に期待される機能をより効果的に発揮させたり,その商品等から得られる美感をより優れたものにするなどの目的で選択されるものである。
 したがって,商品等の形状そのものからなる立体商標は,その形状に変更又は装飾が施されても,商品等の形状を記述するものであって,原則として,取引に際し必要適切な表示として特定人によるその独占的使用を認めるのを公益上適当とせず,また,多くの場合自他商品識別力を欠くという記述的商標の特徴を具備するものであるから,商品等の用途,機能から予測し難いような特異な形態や特別な印象を与える装飾的形状等を備えている場合を除き,同号に掲げる「商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」として登録を受けることができない商標というべきである
もっとも,商品等の形状は,一次的には商品等の特性そのものであるが,二次的には商品の出所を表示する機能をも併有し得るというべきであり,商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる立体商標も,当該形状を有する商品等の販売,広告,宣伝等がされた結果,自他商品識別力を獲得するに至り,商標法3条2項により商標登録を受け得る場合のあることは,記述的商標一般について,その使用をされた結果自他商品識別力を獲得した場合と異なるところはない。

全体形状が,縦長の直方体の上部に首状部を,最上部に口部を設けた形状のものは多数存在し,また,包装容器の表面に浮き彫り状の模様を施したものも多数存在することが認められるところ,亀甲模様自体は,ありふれた模様であるから,本願商標を構成するウイスキー瓶の特徴は,ウイスキー瓶としての機能をより効果的に発揮させたり,美感をより優れたものにするなどの目的で同種商品が一般的に採用し得る範囲内のものであって,ウイスキー瓶として予測し難いような特異な形状や特別な印象を与える装飾的形状であるということはできない。したがって,本願商標は,その指定商品であるウイスキーに使用された場合,指定商品の取引者,需要者は,ウイスキー瓶の形状そのものと認識するにとどまるというべきであるから,本願商標は,指定商品の包装の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として,記述的商標に当たるというべきである。

(3条2項該当性について)
出願に係る商標が,指定商品に係る商品等の形状を表示するものとして商標法3条1項3号の記述的商標に該当する場合に,それが同条2項に該当し,登録が認められるかどうかは,使用に係る商標及び商品等,使用開始時期及び使用期間,使用地域,当該商品等の販売数量等並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して,出願商標が使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるかどうかによって決すべきものであり,その場合に,使用に係る商標及び商品は,原則として出願に係る商標及び指定商品に係る商品等と同一であることを要するものというべきである。

そこで,本願商標と使用に係る本件ウイスキー瓶を対比すると,両者の立体的形状は,同一と認められる範囲内のものであると認められる。しかしながら,本願商標は,立体的形状のみからなるのに対し,使用に係る本件ウイスキー瓶には,透明なガラス瓶の表面楕円形部に表面ラベルが,肩部に肩部ラベルが,裏面ひし形部に裏面ラベルが付され,これらはいずれも黄色地の目立つものであり,・・・特に表面ラベルは,透明なガラス瓶の表面に口部を除く瓶全高の約2分の1の大きさの楕円形黄色地に金色の縁取りがされたものであり,そこには,ラベル全高の約5分の1,全幅の2分の1の大きさの金色の「向かい獅子マーク」又は原告の社章である「響マーク」及び原告の会社名を表すものと認められる「SUNTORY」の欧文字がラベル全幅の装飾された大きく太めの書体で,冒頭の「S」を赤色に,他を黒色又は青色で表示され,ウイスキーの欧文字の冒頭の「W」も赤色で表示されているのであるから,このような平面標章部分は,上記立体的形状に比べて,看者の注意をひく程度が著しく強く,商品の自他商品識別力が強い部分であると認められる。
したがって、本願商標と使用に係る本件ウイスキー瓶とは,その立体的形状は同一と認められる範囲内のものであると認められるものの,両者は,立体的形状よりも看者の注意をひく程度が著しく強く商品の自他商品識別力が強い平面標章部分の有無において異なっているから,全体的な構成を比較対照すると,同一性を有しないというべきである。

したがって,本願商標は,その指定商品について使用された結果,自他商品の識別力を獲得し,商標法3条2項の適用を受けることができる商標には当たらないとした審決の判断に誤りはなく,原告の取消事由2(3条2項該当)の主張も理由がない。
 以上のとおり,原告主張の取消事由はいずれも理由がなく,他に審決を取り消すべき瑕疵は見当たらない。

本願商標

 コメント
 使用による顕著性が認められた判決例。
 不二家のペコちゃんの人形のように、宣伝広告用の立体商標については、商標登録は認められていますが、商品自体や容器の立体的形状の出願については、本件のように、ほとんどの商標が識別性なしとして登録が認められていません。


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