●事件の概要
「包装容器」に「巨峰・キョホゥー」を商標登録していた段ボールメーカー服部紙店が、「ぶどう」の生産者が「巨峰ぶどう」の出荷用に使用するための「段ボール箱」に「巨峰」の文字をあらかじめ印刷しこれをぶどう生産者に販売していた段ボールメーカー飯塚段ボールに対し、その段ボール箱の製造販売の中止を求めて、商標権侵害差止めの仮処分申請をおこなった事件。
●裁判所の判断
一般的に、包装容器の商標は、内容物の表示と混同されることのないように、容器の側面や底面に、また表面であれば隅のほうに小さく表示されるのが通例であり、見やすい位置に見やすい方法で表示されるのは内容物たる商品の商品名として理解され、容器の商標とは受け取られないのが今日の取引の経験則である。
したがって、
「巨峰」「KYOHO」の文字は、客観的に見ても内容物であるぶどうの商品名の表示と解するのが相当であり、製造している被申請人の主観的意図からも段ボール箱の商標として使用しているものではないので、申請人の商標権を侵害するものではない。
被申請人(飯塚ダンボール)段ボール箱
