Q6.「ブランド化」の成功事例にはどのようなもがありますか?
A.
商標とブランド化
有名で商品やサービスの価値が高い商標を特定して「ブランド」といわれる場合があるように、一流といわれるブランドは、商標が使用される商品やサービスが、消費者の信頼を勝ちとり満足を得ています。
商品やサービスのテレビコマーシャルや雑誌広告などに登場する商標は、その商標を見ただけで、企業や商品、サービスをイメージすることができる場合が多く、商標はそれぐらい強力な企業や商品のイメージを作り上げ、企業の価値や商品の売上げに貢献しています。
商標を長年使用し続け、その信用・信頼を得た商標から生まれたブランドが企業の価値、商品の売れ行きを左右します。
よい商標によって、よいブランドが形成されると、特に商品やサービスの品質に差がなくともその商標が使用された商品やサービスのほうが売れ、企業イメージを高めることができます。
このように、
「商標」はブランドを形成するためのツールであり、「ブランド化」には商標が必要不可欠になってきます。
〜たとえば
「関アジ」、「関サバ」〜
「関アジ」とか「関サバ」という商標が付されたアジやサバは、他のアジやサバの何倍もの高値で取引されています。大分と愛媛の間にある同じ豊予海峡なのに、西の大分県佐賀関漁協から出荷されれば「関アジ」、「関サバ」の商標が付され数倍の高値で売られ、東の愛媛県から出荷されれば安く売られることになります。
「関サバ」、「関アジ」の獲り方は、一本釣りです。決して網を使いません。網を使うと魚が擦れ合い、傷つき、鮮度が落ちるからです。しめ方は活けじめです。鮮度を保つためです。売り方は、特定の飲食店、販売店のみに限定されています。
つまり、魚を獲ってから消費者に販売するすべての過程において、「おいしく鮮度の高いアジやサバを消費者に食べてもらう。」というひとつのアイデンティティが確立されているわけです。そして、消費者は、安心してその魚を食べられるという信頼を得るのみならず、
「今、関アジを食べているんだ!」という「スーパーで買った安いアジ」を食べる場合とはまったく違う食体験を味わうことになります。
これがまさにブランドの価値です。
〜たとえば
口コミ高級酒「久保田」〜
「久保田」という商標が付された日本酒が、蔵元・朝日酒造から発売されたのは1985年です。いまや「久保田」は「幻の酒」と呼ばれることもあるブランドとなり、発売以来毎年出荷量を伸ばしています。
朝日酒造が「久保田」を発売する前の主たるブランドは「朝日山」でした。「朝日山」は1970年代後半あたりから量産酒のイメージが消費者に定着し、これを超一流にするのは難しい状況にありました。そこで、朝日酒造は「朝日山」の一ランク上の酒造りを決意しました。それが「久保田」なのです。
「品質はもちろん、価格、販売方法、付加価値の点でも他社銘柄に負けない最高のものにする。」というコンセプトのもと、取り扱いを希望する酒販店の中で、「久保田」のよさを見極め、自店の柱として育ててくれる店にのみに絞り込んで販売するようにしました。
また、全国の酒販店で構成された「全国久保田会」を組織して、販売網を強固なものとし、広告宣伝は一切おこなわず口コミによる販促効果を利用しました。
このようにして、「久保田」は、高級酒としてのブランドを確立し、
「久保田」を愛飲することがステータスシンボルになるよう育ちました。
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