もともと商標であったものが知れ渡ってしまうと、需要者の間で、その商標が商品やサービスの登録商標であるとの認識が薄れてきてしまいます。このような場合に商標の管理を怠り、これを放置すると、やがて、その商品やサービスを表す普通名称であると誤解さてしまったり、実際に普通名称になってしまう場合があります。
特に世の中に初めてお目見えするような商品やサービスについては、適当な名称が存在しないため、商標が普通名称であるかのように使用される可能性が高くなります。
たとえば、「ナイロン」、「エレベーター」などはかつては商標であったものがいまや普通名称となっている例です。
商標の普通名称化が起こると、たとえ商標登録されていても、他社が自由に使用できるようになってしまいます。これでは、商標権を取得した意味がありません。
一方、「セロテープ」、「味の素」などは、しっかりと管理されており、未だに登録商標として存在し、普通名称化しておりません。
では、どのようにすれば、普通名称化を防止することができるのでしょうか?具体的には次のような手段があります。
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@ |
登録商標には、登録商標である旨の表示、たとえば、「味の素は化学調味料の登録商標です。」などのように、商品との関係を適正に示しつつ表示したり、「 ○ 」等の表示をします。 |
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A |
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i) |
文章中においても、登 録商標を普通名称のような印象を与える表現(たとえば、「味の素を入れる」など)、動詞的表現(たとえば、「ゼロックスする」など)などをしないこと、 |
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ii) |
「 」でくくったり「®」をつけて文章の中に入り込みにくい形態にすること、 |
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iii) |
普通名称と併記して使用する(たとえば、「乳酸菌飲料 ヤクルト」など)こと、
などをこころがけ、普通名称と商標とを区別して用います。 |
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B |
マスコミ等が商標を普通名称のように使用している場合には、その使用に対してクレームをつけます。 |